heart and cold~私には貴方だけ~【完】





「あっ…えと…」



驚いて言葉を発したおかげか、呼吸をまた再開する。



あたしはあの日、上村君に言いたかったことがあるのに…



『ごめんなさい』は今さらだ。



それに、それでは悪い思い出をわざわざ引っ張り出させることになる。




ただあの時は気づかなかったけれど、上村君を大きく上回るほどはるき君が好きになってしまっていたのだから。



でも、あたしは本当に上村君を好きになりそうだった…



突然ポワッと心が温かくなった気がした。



この気持ちを、彼に伝えたい。



「凄く短かったけど、上村君の恋人になれて良かったです。ありがとうございました。」



深々と、頭を下げた。



いつも社交辞令でしてきた丁寧な言葉遣いや振る舞いは



今だけは、心から彼に向けたものだった…───





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