猫かぶりの年下くん
「大丈夫だから…言って?」


幹斗はそう言って、あたしの手を握った。


「婚約解消したいって言ったら…き…キスするって…。」


あたしは幹斗の顔を見ることができず、下を向いて言った。


「え…!?茜…もしかして、解消したいって言ったこと…」


幹斗には…嘘つけないよ…。


「婚約した日に言ったの。じゃあ…。で…でもね…あたしキスされるなんて知らなくて…!」


軽蔑しないで…?


お願い…。


「茜は悪くないよ…?」


あたしを…責めないの…?


「茜…婚約はしたままにして?」


「え…?」


「茜がキスされるのなんて嫌なんだ…。それに1回キス我慢しても…どうせ解消させてもらえないだろ…?」


幹斗の言う通りかも…。


涼が簡単に解消させてくれるなんて思えない…。


「幹斗は…それでいいの…?」


彼女に婚約者がいるなんて…嫌でしょ…?


「俺がそうしてほしいの…!婚約したままが一番安全だからね。」


本当は…辛いよね…?


幹斗…ありがとう…。


本当に…


「ありがとう…。」


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