嘘吐きなその唇で



私、やられたらやり返す性分なの。



今に始まったことじゃない。



「灑良、今日バイト休み?」



『……』



あれ?おかしい。



今、左隣から聞こえたんだけど。



声がした方へ顔を向ければ、清涼感溢れる笑顔を浮かべた雅哉がいた。



『チッ、』



思わず舌打ちをしてしまった。



憎たらしいな、その長い脚。



はいはい、それに比べて私は短足ですよー。



一人で勝手にいじけていると。


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