嘘吐きなその唇で



『オイ、下駄脱げ。土足禁止だ、ゴラ』



「相変わらず、灑良(セラ)は口が悪いなぁー。ケツ痛いから、下駄――…」



『自分で脱げ、オッサン』



「……まだ、言ってねぇのに」



『ほら、さっさと!』



「少しは俺を敬ってくれよ」



男は右手に持っていたキセルを口にくわえ、座ったまま下駄を足の一振りで脱ぎ捨てる。



それでも私は腕を組み、男を見下すことをやめない。



「……」



『……』


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