嘘吐きなその唇で



細く柔らかい少し茶色がかった黒髪に、色素の薄い優しそうな栗色の目。



ほんと、嫌みなくらい端整で中性的な顔立ちをしているよねぇ。



うん、腹立つわー。



けど、人には必ず欠点というものがあって、朝比奈さんの場合は常軌を逸している。



そう、変人。



朝比奈さんにとって三種の神器とは、着流しに下駄、そしてキセルらしい。



夜は、紺の着流しに下駄を履き、キセルをくわえて普通に繁華街を歩く末恐ろしい男だ。



人の目を気にしない我が道を進む性格が、ここでよく表れていると思う。


< 8 / 75 >

この作品をシェア

pagetop