勇者34歳
ナターシャさんは
目の前に魔族がいると言うのに
取り乱す様子もなく静かに対峙している。

ナターシャさんは
詰所にイルルを迎えに行ったつもりだったと思うけど

ナターシャさんの
凡人とは一線を画する方向感覚は
何故か魔族が襲撃してきた場所へと
たどり着いてしまったようだ。

「魔族なら知能があるでしょう。何故ここに来たのか言いたまえ。」

「ワシ、ヒトを追ってきたんやけど、可愛いお嬢さんやな。」

「お世辞は結構。」

ナターシャさんはツン100%だ。

「別にお嬢さんと遊んでから探してもええんやけどな。」

ナターシャさんの
殺気みたいなものが
膨張する。

「高いわよ。」

殺気を放っているのに
優雅な立ち回りだ。

魔族のほうも
ナターシャさんの間合いに入ってこない。

既に2人とも臨戦態勢だ。
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