勇者34歳
「はぐれ魔族か。ちょっと想定外だ。」

リーヴェが
気持ち悪い喜び方をしている魔族を見ながら
げっそりした様子でつぶやいた。

「いや、さすがにコレは魔界でも珍しいんじゃないのか?」

イルルも嫌そうな顔で言う。

「滅するなら手伝いますよ。」

天使くんからのありがたい申し出だ。

「なんか…お気に召さんかったようで。」

全然満足してないよ。

「こっちとしては何をどうしたら魔族に人間界を荒らされないのか悩んでるんだ。解を持ってないヤツには用はない。」

「期待はずれじゃのぅ。」

たぶん全く堪えないだろうけど
嫌味のひとつふたつ
言っても許されるはずだ。

「で、魔王を倒す?一応それで合っとるよ。」

なんとなく含みがある言い方だな。

「気に入らへんならワシのことは好きにすればええ。また縛ってもらったから満足。」

そんな表情で俺たちを見るな!

「デットレイトに強制送還だろ。」

「うん、安定。」

「じゃあそれで。」

だいたい一致して
魔族は一晩牢屋に入れておくことになった。

「ちびっこサムライ、ワシと友達から始めへんか?」

「オマエとは何も始まらないし何も始めたくねぇ!」

イルルの怒声が夜の町に響き渡った。
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