勇者34歳
「人相が悪い男女ねぇ。」

「人相が悪いだけじゃ、誰につれていかれたかわからないな。」

ナターシャさんとリーヴェで
2人の世界をつくって相談している。

「あぁそうだ、ぽこぽんさん。」

レグナくんに話しかけられた。

「ぽこぽんさんのイルルさん誘拐の嫌疑は晴れていますよ。イルルさんのお父上は納得されていませんが。」

そういえばそういう嫌疑もあったな…。

「だいぶ、イルルさんのお母上や、サカヅキの兄上にご尽力いただいたようです。」

レグナくんが
どこで情報を手に入れたかは問わないけど
背後から捕獲される心配はなさそうだ。

それぞれで話し合ってるときに
部屋のドアがノックされた。

イルルかと思ったが考え直す。
アイツはノックなんかしない。

俺は全員に目で合図する。
それぞれが構える。
全員が構えたのを確認してから、ノックに応答する。

「ど、どうぞ。」

「どうも〜。」

知らないオッサンが入ってきた。
いや、オッサンと言ったら

広義では
俺とリーヴェもオッサンなんだろうけど
俺たちよりも少し年をとっている感じで
紛れもないオッサンクサさがあった。

武器は持っていないようだ。
人相が悪いどころの話ではなく
どこからどう見てもヤクザである。

「あれ〜?警戒されちゃってる?」

バッチリ警戒してますけど何か?

「あなたは、昨日の、情報提供者…?」

レグナくんの顔見知り?

「あんたこそ、天使のくせにイルルのことを根掘り葉掘り聞くから、こっちがばきばきに警戒してたっつーの。」

ヤクザみたいな男は
俺のオデコを見つめた。

「なるほど、勇者さんですか。」

「それが何か?」

増えるワカメみたいに
もりもりと増えていく警戒心。

「失礼、オレはデルフ。イルルのサカヅキの兄だ。」
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