勇者34歳
「ぽこさん。」

上から声が降ってきた。
誰なのか容易にわかる。

「レグナくん。」

予想どおりにレグナくんだった。

「イルルさんが捕まっている場所を把握しました。」

レグナくんは
表情を見せずに淡々と言った。

「予想以上の成果だのぅ。」

ナターシャさんは満足そうだ。

「レグナ、これをつけて、イルル監視の任にあたってくれ。」

リーヴェがレグナくんに渡したのは
耳元につける金属のような何かと
ペンダントのような何か。

「何に使うんですか?」

「イルルと共同開発した便利アイテム。」

それ答えになってないよな?

「耳飾りは遠くにいてもオレやナタ様の声が聞こえる。」

確かに便利だな。

「首飾りが、レグナから俺たちに連絡したいときに使える。」

「イルルさんは脳筋だと思ってましたが、頭脳労働もできたんですね。」

俺もレグナくんに同感だ。

「イルルはキレやすいだけで、バカではない。」

こんな得体の知れない男に保証されても
イルルは複雑だろうな…。

「で、これはアナログなんだがありきたりな双眼鏡。」

リーヴェはレグナくんに双眼鏡を渡した。

「イルルがいる場所を逐一報告してくれ。」

レグナくんは少し嫌な顔をしたが
うなずいた。

「これで完璧にイルルが守られるとは思えないけど、助かる確率は上がったのぅ。」

ナターシャさんが、少し安心した表情になる。

「一番のお手柄はレグナですが。」

「そうじゃのぅ、レグナくん、ありがとのぅ。」

ナターシャさんが
ちょっと涙をにじませながら
レグナくんにお礼を言っていた。

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