勇者34歳
「レグナ、斥候に、徹しろ。」

リーヴェが指示を出す。
イルルはまだ捕まったままだ。
おいおい、どうする気だよ…。

「相手がレグナに気づいているかどうかで出方は変わってくるだろ。」

「どういうことだね。」

ナターシャさんが
いちばん心配してるはずなのに
まったく動じた様子がない。

「もう逃げ場がない凶悪犯の集まりなら、逃げれない。」

「ふむ、出てくるしかないわけだの。目的は…」

リーヴェとナターシャさんの声が重なる。

「「司法取引。」」

たった1人の人質じゃ
司法取引の材料としては
弱い気がするけどな。

「ここまで兵力差を見せつけたのに、逃げない悪党がいたらお目にかかりたいくらいですな。」

「普通に町中で見たことあるんじゃないか?指名手配犯の写真で。」

「その可能性は高いですね。」

指名手配犯の顔なんか
ナマで見たくないなぁ。

「ナタさん、意外と冷静だな。」

「ヒトのうえに立つ者は冷静でないといけないのだよ。民が動揺するからのぅ。基本でしょ。」

ナターシャさんは、一般人とは
なんか色々違うのかもしれない。

「事情を知らない兵たちは勝ち戦の流れだから気が緩んでるのぅ。」

いかに凶悪犯が群れても
剣や槍と
銃では勝負は見えている。
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