勇者34歳
教会から聖水をもらってくるだけのはずだったのに

どうして俺は
武器や防具や重火器が
ところせましと置かれた店のあたりを
歩いているんだろうか…。

病室を出るときは
確かに教会の場所を
看護士さんに確認したはずだったんだが。

「あらぁ〜ステキなおにいさんね。」

野郎の野太い声が聞こえてきたが
気にせず教会を探す。

「ちょっとちょっとちょっと。おヒゲのアナタよっ!」

アナタさんどこですか?
誰か呼んでますよ〜。

俺はがしっ!
と力強い腕に掴まれた。

「えっと…ナンデスカ?」

女言葉を使っていても
声も外見も男だった。

ヒゲの剃りあとが
なんとなくなまなましい。

「迷子かしら?」

的確に俺の状況を言い当てる謎の男性。

「えっと…。」

俺は言葉に詰まる。

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