勇者34歳
「ムカつくんだよ!」

殺気立った男子がイルルに向かってくるが。

「こらーっ!何やってる!」

「げ、風紀委員だ。」

「「逃げろ!」」

レグナくんを囲んでいた男子のうち
不良っぽいヤツらが脱走した。

風紀委員と呼ばれたヤツらは
脱走したヤツらを追って走っていった。

「なんで僕なんかを助けるんですか。あなたは今、大人じゃないんですよ?」

レグナくんがイルルに言う。

台詞には棘があるんだけど
声は戸惑っているように聞こえた。
レグナくん、素直じゃないな。

「…別に。」

イルルは無表情でそう言うと
ふらりと姿を消した。

「イルルはどこに行っても目立つな。」

いつの間にか
俺の正面に座っているリーヴェ。

「いつ来たし。」

「イルルが喧嘩売った時かな。」

リーヴェは俺の返答を待たずに
勝手に話し始める。

「関係あるか知らないけど、目立つ学生が昨日から来なくなったって話をよく聞く。」

さっき俺もそんな話を聞いたな…。

「他に目立つ話は?」

「大した話はないな。」

「昨日、か。」

正直、何が関係あって
何が無関係なのか全く判断できない。

「目立つってどういう意味だろうな。」

「どういう意味、とは?」

「さっきのイルル。あれは周りとうまくやれなくて目立った系だろ。」

「うん、そうかも。」

「レグナは容姿が目立ってるせいだ。」

「うんまぁ可哀想だがレグナくんは情報収集には向かなそうだな。」

「ナターシャさんはどこまで身元バレしてるかわからんが、気品が目立つ。」

「何の面で目立つのか、共通点があるかもしれないと言っている?」

「名前、わかりませんか?密偵部に依頼します。」

「結構いるんだよな、うろ覚えのヤツは省くぞ。しかもフルネームじゃないし。アルフレッド、ベンジャミン、シャルロット、デイヴ…。」

フルネームじゃないとか言われても
大半の人は家名がないから
特定は可能な気がするけど。

俺は、最近来た人と話してみるか。
< 281 / 353 >

この作品をシェア

pagetop