勇者34歳
「無理っしょ。まだ人間の老いのロジックすらわかってないし。」

リーヴェは
そう言ってイルルを見る。

15年前の姿に戻っても
変化がない顔の持ち主がそこにいた。

「うん、まぁ、そうだな。老けるの遅い奴もいるしな。」

俺の目の前に。

当のイルルは俺たちの会話を無視して
本を読んでいる。

リーヴェは時々会話をはさむが
イルルは一言も話さない。

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