勇者34歳
「七罪?」

俺はラウザに、聞き返す。

「魔族狩りの世界で、最強の7人、らしい。」

「強欲、傲慢、憤怒、怠惰、嫉妬、色欲、暴食?」

イルルが7つ答える。

「せやな。」

あれ?なんか、聞こえちゃいけない声が
聞こえた気がするんだけども…。

声の発生源…壊れたベランダのほう…を見る。

「よっ!」

「「ぎゃーーーーーっ!」」

俺とイルルは喉が壊れるかと思うほどの
絶叫をあげた。

そこには、全裸で更に血塗れの
美形の魔族が何事もなかったかのような表情で
立っていた。

「おま、捕まったはずじゃ…?」

「ここの宿泊客の知り合いやて言うたら普通に解放してくれたけど?」

なんてことをーーーッ?!

なんで素っ裸なのかとか
問い詰められなかったのか?

十中八九、ベランダ壊したのは
俺たちってことになっちゃわない?

色んな考えが頭のなかを
光の速さでグルグル回る。

「ちょっとベランダで裸踊りしてたってことにしたんや。」

どこの誰がそんなことするんだよ!

「それに、実際に破壊したんは、そこの魔族狩りやろ?」

魔族は、ニヤニヤしながらそう言う。

ぐぅの音も出ないほどの正論だ。

「ワイに罪を擦り付けるなんて、酷いやん?悪いことはできへんなぁ、勇者?」

…くっそー。

ここの宿屋の修理費用、どうなるんだろう…。

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