勇者34歳
当たれば即死とさえ思われるほどの
光の矢に貫かれ、
美女は倒れるかと思ったが…。

確実に当たったのに
美女は平然と立っている。

美女はクスクスと笑っている。

「せいぜい、中級天使ってところかしらね。」

「高位の魔族ですか。」

レグナくんの緊張した声が聞こえる。

高位の…魔族?

俺たちの時を奪ったのはコイツか?!

「あのー、つかぬことをお伺いしますが、トロンコロンの住人の時を奪ったのは、あなた様?」

レグナくんの魔法で倒れない美女を相手に
俺は腰が引けているので、
問いかける言葉も何故か敬語になる。

イエスなら、コイツを倒さないといけないし、
ノーなら戦闘を回避したい。

俺は死ぬわけにはいかないし、
当然、JJや、ナターシャさん、リーヴェ、レグナくんを死なせるわけにはいかない。
ラウザは自分でなんとかするだろ多分。

「あら、トロンコロンの住人だったの?そのとおりよ。」

「うわーマジで?」

面倒そうな声を出したのはリーヴェだ。

「勇者ぽこさん、魔族狩りが逃がしてしまったのは、コイツだ。傲慢のサキ。アーヤ陛下の勅命を受けたイブナクから連絡を受けて、追ってた。」

えっ…。

傲慢?

傲慢って、七罪の…?

「相手が悪すぎるだろ…。」

その瞬間、俺は絶望した。

「詰んだ…。」

リーヴェも、似たり寄ったりの表情。

「イルルがいれば…。」

ラウザが、今更ながらに、イルルを置いてきたことを悔しがる。

いや、相手がわかってたなら
なんで置いてきたんだよ。
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