勇者34歳
「俺たちはただ素材が欲しかっただけで。」

美形の魔族は俺の姿をじろじろと眺める。

「ふん、少々年をとっているが勇者か。」

その言葉に周りの魔族が反応する。
戦いは避けられない…か?!

「お袋は下がってろ!」

イルルが飛び出し、
美形魔族の腹を蹴る。

相手がうずくまった隙に、
どこに隠し持っていたのかわからないけど
短剣を魔族の喉にあてる。

「お前らがかかってきたらこいつの喉から血が出るぞ!」

イルルは、
既にどちらが悪いのかわからない
見事な悪役っぷり。

「卑怯者!」

「魔族に言われたくねぇや!」

イルルは魔族を人質に取ったまま
じりじりと、出口の方へ向かう。

イルルについて外に向かうのは
俺、ツキヨさん、リーヴェの順だった。

こっちが人質をとるのは
有利かもしれないけど
ツキヨさんを人質に取られると
面倒だし。



俺、勇者のはずなんだけど
見事にチンピラ御一行様になっちゃったな。

エクトプラズム入りの
ため息をつきながらも、なんとか
4人とも出口から脱出することができた。
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