♡祐雫の初恋♡
「そのためにもお願いがあります。
熟考するための時間を私にください。
大学を卒業したら、海外留学へ行かせてください。
留学中の費用は、自身で賄います」
慶志朗は、このまま父がひいた人生を進むのに疑問を感じていた。
「ふむ。
ちょうど、ニューヨーク支社企画室長の椅子が
空くことになっておる。
ならば、尚のこと身を固めて行く方がよいと思うのだが……
様々なパーティには、夫婦で出席したほうが様になる。
慶志朗、そういえば音楽会に招待した娘がいたそうだな……
まさかその得体のしれぬ娘と
結婚すると言い出すのではないだろうね」
父の頭の中では、様々な思いが過(よぎ)っていた。