♡祐雫の初恋♡
深窓の令嬢
翌日、慶志朗は、祖父・慶之丞(けいのじょう)の屋敷を訪れた。
嵩愿グループの会長兼御意見番の祖父は、
一族から絶大な信頼を得ている。
慶志朗は、幼い頃から、度々、祖父の屋敷を訪れては、
祖父母を慕っていた。
祖父母も、殊更、直系の孫である慶志朗を可愛がっていた。
慶志朗は、執事に案内されて、神妙な面持ちで、座敷に入る。
祖父母の好物である葛きりの箱を黙って差しだすと、
そのまま畏(かしこ)まって正座した。