♡祐雫の初恋♡

「慶志朗、いつもの葛きりだね。

 それを出されると厳しい顔が出来かねるが、

 また面白いことを企んでいるらしいな」


 祖父・慶之丞は、広縁に座り、日本庭園を眺めるふりをして、

 慶志朗に背中を向けたまま呟く。


 祖父の背中からは、怒りの感情は、感じられず……

 慶志朗は、そのように信じたかった。


「爺さま、申し訳ございません。

 麗華さんと琳子さんとの婚約を解消したいと存じます。

 ぼくは、身勝手でしょうか」


 父には、率直に意見を述べた慶志朗だったが、

 祖父の前では、謙虚に問いかける。

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