♡祐雫の初恋♡
「よろしければ、今からお茶の時間なのですが、
付き合ってもらえませんか」
慶志朗は、気軽に声をかけて、祐雫をお茶へ誘う。
祐雫は、視線の片隅で、別荘の表札を確かめる。
表札には【嵩愿邸】とあった。
今まで、着飾って晩餐会に出かけるくらいなら、
勉学に勤しみたいと常々思っていた祐雫には、
嵩愿家が何処のお屋敷なのか皆目見当がつかずに、
珍しく気後れしていた。
「よろしゅうございますの。
お邪魔ではございませんか」
祐雫は、突然のお茶の誘いに躊躇しながらも、
慶志朗の笑顔に惹き寄せられていた。