♡祐雫の初恋♡
「許婚嬢にとっては、災難だろう。
そろそろ結納の儀でもと考えていたところに
破談宣告されるのだからなぁ」
慶之丞は、再び腹の底から、面白い態で、笑いを零した。
「ところで、許婚嬢には何と申し開きをするのだね」
慶志朗は、祖父の真の笑顔を受けて、
(やはり、爺さまは、ぼくの味方をしてくださるようだ)
と安堵する。
「誠心誠意謝るつもりです」
慶志朗は、真剣な表情で答えた。
「単純だな。
許婚嬢は納得してくれるかな。
竣太朗が怒り治まらぬ体(てい)で、電話をかけてきたぞ」
慶之丞は、竣太朗の権幕を思い出していた。