♡祐雫の初恋♡
「それはそうと桜河電機の嬢と近付きになったそうだね」
慶之丞は、まだ一度もその姿を見たことがない
深窓の令嬢の祐雫のことが、ふと気になり、話題に載せる。
「それも父上からお聞きになられたのですか」
突然の祐雫の話題に、慶志朗は、驚いて、声を高くする。
「竣太朗は、早速、身上調査したらしいが、
聡明過ぎるくらいの女学生らしいな。
双子の兄と跡目争いをしているとか。
今まで意識してなかったが、桜河電機の業績はなかなかのものだ」
慶之丞は、慶志朗の慌てぶりを面白がる。
「身上調査までしたのですか。
父上は、気が早過ぎます。
近付きになったと言っても、挨拶程度です。
それに祐雫さんは、確かに聡明ですが、
巷(ちまた)で噂されているような娘とは全く違います」
慶志朗は、思わず、誤った噂を解きたい一心で、
祐雫を擁護(ようご)する。