♡祐雫の初恋♡
翌日の日曜日、慶志朗は、琳子を茶室に招いた。
「慶志朗さま、
本日はお招きありがとうございます。
麗華さまは、いかがされたのでございますか」
琳子は、訝(いぶか)しげな表情を慶志朗に向ける。
慶志朗と会う時は、必ず麗華と三人で会うのが常だった。
「ようこそおいでくださいました、琳子さん。
まずは、ぼくの点てたお茶を召し上がってください」
「喜んでいただきます」
慶志朗は、琳子に和菓子を勧める。
琳子は、菖蒲(あやめ)の和菓子を手に取って見つめる。
「昨年は、慶志朗さまと麗華さまとご一緒に
菖蒲祭りへ参りまして、
大変楽しゅうございましたね。
慶志朗さまとこのように二人だけでお会いするのは、
初めてでございますので、こころが揺れてございます」
琳子は、慶志朗の点てた茶の中に答えを見出そうと
茶碗を手に取って考える。