♡祐雫の初恋♡

「ええ、麗華さまの運転を信じてございますもの」

 祐雫は、信頼しきった瞳で、麗華へ無邪気に微笑みかける。


 麗華は、祐雫が怖がるのを期待していたのに、

 反対に喜ばれて拍子抜けする。


「まぁ、わたくしと会うのは二度目でございましょう。

 何故そのように信じられるの」

 麗華は、祐雫の憧れの微笑みにも苛立ちを覚えた。


「あら、不思議でございますね。

 確かに麗華さまのことは何も存じておりません。


 でも、私は、はじめてお会いした時に

 麗華さまが好きになりましたの。

 ただ、それだけでございます」

 相変わらず祐雫は、麗華を信じきって、無邪気な笑みを返す。


「わたくしを好きですって」

 麗華は、驚きの声を上げた。


「失礼でございますが、

 このようにお美しい麗華さまとお話させていただけて、

 嬉しゅうございましたの。

 最先端の女性って、感じでございましたもの」
 
 祐雫は、憧れの眼差しを更に強く向ける。


「まぁ、あなたって、不思議な娘ね」

 麗華は、並木道の傍らに急停車した。




< 135 / 201 >

この作品をシェア

pagetop