♡祐雫の初恋♡

「少し、歩きましょう」


 麗華は、落ち着いて、祐雫を観察したい気分になっていた。

 聡明な才女という巷(ちまた)の噂とは、どこか違うように感じられた。


「はい、麗華さま」

 祐雫は、憧れの麗華と並んで歩くことがこの上なく嬉しく感じられる。


「そういえば図書館の用事は終わったの」


「いいえ。

 本日は麗華さまとご一緒できましたので、

 図書館はまたの機会にいたします」


「勉学がお好きなの」


「はい、知らないことが少しずつ解明されると楽しゅうございます。

 友人からは、変人と思われてございますが」


 祐雫は、麗華には変人と思われたくないと思いつつも、正直に答える。


「まぁ・・・・・・ほんに変わった娘ですこと」


 麗華は、唖然として祐雫の顔を正視した。


 祐雫は、麗華のひと言ひと言が美しい口から発せられるのに見惚れ、

(麗華さまは、慶志朗さまの許婚として、相応しゅうございます)

 と感じていた。


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