♡祐雫の初恋♡

「ところで、慶志朗とは、お会いになっていらっしゃるの」

 麗華にとって一番聞きたくないことであり、一番聞きたいことであった。


「ひと月前、偶然に学校の帰りにお会いして、

 自宅近くまで送っていただきました」

 祐雫は、正直に答える。


「それからは、会っていないの」


「はい」


 麗華は、毎週末、琳子といっしょに様々な所へ

 招待してくれた慶志朗のことだから、

 祐雫とも再三会っているものとばかり思っていた。


(ただの慶志朗の気まぐれかしら)


 と疑いながらも、

 その反面、一般的な良家の子女とは異なる祐雫の魅力を感じていた。


(いいえ、慶志朗のことだから、

 この不思議な娘に興味を持たない訳がないわ)

 と考える。


「麗華さま、あちらの木陰のベンチに参りましょう」

 祐雫は、麗華の手を取って、ベンチへと導く。


 麗華の美しい手に触れた祐雫は、嬉しさでドキドキしていた。



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