♡祐雫の初恋♡
「遠慮なさらずにどうぞ。
家族は一足先に帰ってしまい、
管理人さんとぼくだけなので、どうぞ気兼ねなく」
慶志朗は、テラスへ続く階段を上る祐雫を気遣って、
手を差し伸べて導き、テラスの椅子を引いて勧める。
「ご丁寧にありがとうございます」
祐雫は
(なんて紳士的な御方でございましょう)
と、勧められるまま椅子に腰かけた。
祐雫にとっての男性は、
祖父と父と優祐と鶴久病院の柾彦先生のみであった。