♡祐雫の初恋♡

「そう」

(この純真さが慶志朗には新鮮なのだわ。

 わたくしは、慶志朗に愛されるのが当たり前だと思って、

 疑わなかったもの)

 麗華は、自身にないものを改めて祐雫から感じとる。


「今日はお話できてよかったわ。

 お屋敷まで送って差し上げたいけれど、

 次の予定が迫っているので、駅までお送りするわ。

 よろしくて」


 麗華は、気持ちを切り替えて、誘いを断ったパーティに、

 顔を出す気分になっていた。

 後ろを振り向かずに、前を向いて歩きだす気持ちが生まれていた。


「はい、ありがとうございます」 

 麗華は、祐雫への沸々とした怒りが凪(な)いで、

 慶志朗への想いが少し吹っ切れた気がしていた。


 そして、姉のような気分で、

 祐雫の淑女への成長を楽しみにする気持ちが芽生えていた。


(わたくし以上の淑女になる日が楽しみだわ。

 慶志朗に相応しい女性になっていく祐雫さんを

 見届けるのも面白いかもしれないわ)

 麗華は、新たな希望を胸に抱く。



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