♡祐雫の初恋♡

 祐雫は、初めて出逢った時に着ていた

 白いワンピースを身に着けていた。

 あの夏以来、良き想い出とともに

 大切に仕舞っていたワンピースだった。


 祐雫は、慶志朗に逢えない日々、

 祐里から習って、

 ワンピースの裾周りに夏の想い出を蘇らせながら、

 虹色の糸で一針一針刺繍を施した。


 虹色は、祐雫にとっての初恋の色だった。


 久しぶりに慶志朗と逢った祐雫は、

 まさに虹色の心地に包まれる。


 話したいことがたくさんあったはずなのに、

 何も言葉が出てこない。


 ただ、運転している慶志朗の横にいるだけで、

 しあわせがこころに溢れて、胸がいっぱいになる。


「楽しい夏休みを過ごしていますか」

 慶志朗は、言葉少ない祐雫のことが気になって仕方がない。


「祐雫さんのことだから、勉学に励んでいるのでしょう」

 慶志朗は、冗談のつもりで言ったのだが、

 祐雫は、コクリと頷いた。



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