♡祐雫の初恋♡
「祐雫さん、向こうに雷雲が出ています。
しばらくすると近付いてきそうですよ」
慶志朗は、遠くの水平線を指差した。
「えっ、雷雲でございますか」
祐雫は、きょとんとして、慶志朗の指し示す先を見つめる。
確かに暗い雲が、僅かに湧き起こっていた。
「さぁ、雨に降られる前に下へ行きましょう」
慶志朗は、祐雫の手を取り、階段を下った。
階段の途中で、明るかった空が掻き曇って、辺りが暗くなる。
階段の中ほどの踊り場で、慶志朗は、歩みを停めた。