♡祐雫の初恋♡
「森の妖精か……
詩乃さんも上手い表現をしますね」
慶志朗は、思わず微笑んでいた。
テラスで本を読んでいた慶志朗は、ふと気配を感じて、
森の中へ視線を向けた。
その視線の先に、突如、祐雫が現れた。
深緑の森を背景にして、祐雫の白いワンピースは、
木漏れ日を集めて光り輝き、
まさに森の妖精が飛翔しているかのように感じられた。
風に揺れる翠(みどり)の黒髪は、
森の樹木を映し込んでさやさやと靡いていた。
「白いワンピースが妖精の羽のようで、
思わずお誘いしていました」
慶志朗は、森の深緑色を湛えた祐雫の瞳に惹かれて、
真っ直ぐに見つめる。