♡祐雫の初恋♡

「まぁ……今までそのように、

 褒めていただいたことはございませんので、

 とても恥ずかしゅうございます」


 祐雫は、頬を薄紅色に染めて俯きながら、

 不思議な気分に包まれる。

 
 今まで誰の前でも物怖じしたことがなく、

 凛と胸を張って相手の瞳を見つめて、

 話をするように心がけていた。


 それなのに、慶志朗の前では、

 恥ずかしい気持ちが先行してしまい、

 真っ直ぐに瞳を見つめて話すことができない。


 普段の祐雫らしからぬ装いのワンピースが、

 慶志朗の瞳に留まったことに、戸惑いを感じていた。


 森の妖精と讃えられて、

 今まで陰を潜めていた祐雫の乙女心が呼び覚まされていた。


(普段にお逢いしてございましたら、

 気に留めていただけなかったのかしら。

 今日の祐雫は、祐雫らしくございませんのに)


 祐雫は、こころの中で呟く。

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