♡祐雫の初恋♡

「桜河電機の娘さんは、成績優秀の才女で、

 ゆくゆくは長男の優祐くんを差し置いて、

 社長に就任するのではと聞いていたけれど、

 噂と違って可愛らしい方ですね。 


 どうして晩餐会で気付かなかったのだろう」


 慶志朗は、祐雫の瞳を見つめて、晩餐会の顔触れを思い出していた。



「晩餐会には、伺ったことがございませんの」


 普段の祐雫であれば、


「どうして女の私が社長ではいけませんの」


 と、むきになって反論していた筈なのに、

 世間の風刺さえも耳に入らず、

 慶志朗の微笑みと声の響きにうっとりと酔いしれていた。

 
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