♡祐雫の初恋♡

「坊ちゃま、酷い雷でございましたね。

 私は、怖くて布団を被ってございました。

 お嬢さまも、さぞ、恐ろしゅうございましたでしょう」


 詩乃が少し青ざめた顔色で、

 部屋の扉を叩いて顔を出した。


「詩乃さんは、雷嫌いでしたね。

 大丈夫ですよ。別荘には避雷針が付いているので、

 雷は落ちませんので。

 雨が止みましたから、お客さまを送ってきます」


 慶志朗は、テラスへ続く硝子の扉を開ける。



 夕立で洗われた森の香気が、一斉に部屋に流れ込んだ。







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