♡祐雫の初恋♡
昼食後のひとときは、
音楽を聴いたり、
読書をしたり、
午睡をしたりと、
各々が自由な時間を過ごしていた。
祐雫は、机に着いて、夏休みの課題帳に取りかかる。
勉強好きの祐雫は、避暑地にあっても勉学に勤しんでいた。
傍らの窓から、涼しい風が入り、白いレースのカーテンを揺らした。
祐雫は、立ち上がって、窓の外を眺める。
深緑の森の木立が、さやさやと音をたてて、陽射しに煌めいていた。
窓の下では、従兄の郁太朗が自転車で出かける姿が目に留まる。
(郁太朗さまは、サイクリングにいらっしゃるのね)
祐雫は、郁太朗が姿を消した小径の深緑の輝きに誘われて、
夏休みの課題帳を閉じると、
森の散策へ出かけることにした。