♡祐雫の初恋♡
「祐雫さん、少し遠回りをしましょう」
慶志朗は、森の遥か上空を見上げて、
突然、祐雫の手を強く握り締めた。
「はい……」
慶志朗は、急に足早になり、
祐雫の返事も待たずに、腕をぐいぐい引っ張った。
祐雫は、頷きながら、
慶志朗から手を引かれるままに足を速める。
祐雫は、途中で息が切れそうになりつつも、
慶志朗の背中を見つめて、走り続ける。
慶志朗は、遥か上空を見つめて、
祐雫を振り返らずに、さらに速度を上げて走り続けた。