♡祐雫の初恋♡
突然、木立の切れ間から、
七色に輝く虹が浮かび上がった。
慶志朗は、切り込んだ崖の端まで行くと
紺碧に変わりつつある空の大きな虹の橋を指差す。
「祐雫さん、ご覧なさい、大きな虹の橋がかかっています」
慶志朗の声は、虹に出合えた感動に弾んでいた。
「まぁ、なんて綺麗な虹でございましょう」
祐雫は、虹の壮大な美しさに言葉を失う。
虹を見た瞬間、肩で息をする苦しさが一転して、
深呼吸をしたような清々しい気分に浸っていた。
「ぼくは、ここから望む虹が、
世界で一番美しいと思っています」
慶志朗は、胸を張って、祐雫を見つめる。
七色の虹が、深緑の山から山へと鮮やかに架かっていた。
慶志朗と祐雫の運命の出逢いを祝福するかのように、
虹の橋がゆっくりと二人の頭上を移動して行く。