♡祐雫の初恋♡
「まぁ、さぞお辛かったことでございましょう。
そうして、母上さまは、父上さまとの初恋を
成就されたのでございますのね」
祐雫は、母・祐里の恋心がしみじみと胸に落ちる。
母は、いつでも父の横で、父だけを見つめている。
「ええ、私は、物心ついてから、
雲上人であらせられた父上さまに憧れて、
ずっとお慕い申し上げて参りました」
真剣な面持ちで、祐里の話を聞く祐雫を見つめて、
祐里は、祐雫が恋をしていることに気付く。
「祐雫さんは、どなたさまに
恋をされたのでございますの」
祐里は、避暑地の限られた時間に
祐雫が出逢った想い人のことが気になった。