♡祐雫の初恋♡

「別荘近くの森を散策している時に

 お茶を御馳走してくださいましたの。

 嵩愿慶志朗さまとおっしゃってございました」


 祐雫の瞳には、避暑地の森の慶志朗が蘇る。

 七色の風に包まれて穏やかな面持ちの慶志朗と

 虹色の瞳で天使の羽で羽ばたく姿の慶志朗を思い浮かべて、

 祐雫は、更に顔を紅くする。


「優祐のことは、晩餐会でご存じとのことでございましたが、

 母上さまは、嵩愿さまをご存知でございますか」


 雷鳴が怖ろしくて、

 慶志朗の胸に顔を埋めていた時のことを思い出すと、

 祐雫の頬は、上気して、胸が苦しくなる。






 

< 52 / 201 >

この作品をシェア

pagetop