♡祐雫の初恋♡
「別荘近くの森を散策している時に
お茶を御馳走してくださいましたの。
嵩愿慶志朗さまとおっしゃってございました」
祐雫の瞳には、避暑地の森の慶志朗が蘇る。
七色の風に包まれて穏やかな面持ちの慶志朗と
虹色の瞳で天使の羽で羽ばたく姿の慶志朗を思い浮かべて、
祐雫は、更に顔を紅くする。
「優祐のことは、晩餐会でご存じとのことでございましたが、
母上さまは、嵩愿さまをご存知でございますか」
雷鳴が怖ろしくて、
慶志朗の胸に顔を埋めていた時のことを思い出すと、
祐雫の頬は、上気して、胸が苦しくなる。