♡祐雫の初恋♡

「秋には、音楽会や晩餐会がございますので、

 必ず嵩愿さまにお会いする機会もございましょう。

 私から、父上さまへ祐雫をお連れくださるよう

 お願いいたしましょう」


 祐里は、優しく祐雫の黒髪を撫でる。


 祐里は、高校生になっても勉学のことばかりで、

 殿方に興味を示さない祐雫のことを心配していた。


 優祐と同時に育てる中で、

 祐雫に対して気遣いが足りなかったのではないかと

 悩んでもいた。


 祐雫は、幼少の頃よりしっかり者で、

 優祐よりも精神的に成長が早く、

 祐里の手を煩わせることが少なかった。


 それに甘んじていた自分がいけなかったのではないかと

 祐里は、憂慮していた。


 
 その祐雫の恋煩いの様子を妙に安堵している祐里であった。



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