♡祐雫の初恋♡

「贈りものですか」

 慶志朗は、優祐と祐雫を同時に見比べて、

 双子は、確かによく似ていると感心していた。

 優祐の穏やかな面持ちに対して、

 祐雫は、僅かながら勝気そうにも見えた。


「はい、おじいさまのお誕生祝いです」

 いつもなら、我れ先に答える祐雫が黙っているので、

 優祐が仕方なく返答した。


「お二人の意見が分かれていたようですね」


 優しい瞳で、慶志朗は、祐雫を見つめる。

 見つめられた祐雫は、言葉を失くしていた。


「はい。

 ぼくは、おじいさまには、おばあさまのお好きな薔薇色の格子が

 お似合いだと申しているのに、

 妹は、空色の格子がよいと主張しますので」


 優祐は、祐雫が口を挟まないので、拍子抜けした気分なる。


「優祐くんの方が押され気味でしたね」


 慶志朗は、祐雫の瞳を真っ直ぐに見つめながら、

 茶目っ気たっぷに微笑む。


「妹は、言い出すと聞く耳を持ちませんので、

 困ってしまいます」


 優祐は、慶志朗に返答しながらも、

 祐雫のもじもじした態度に、少しずつ事情が飲み込めて来た。


 祐雫は、優祐が正直に祐雫の性格を話してしまうので、

 いたたまれない気持ちに陥っていた。

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