♡祐雫の初恋♡

 なるほど……

 祐雫は、避暑地で、慶志朗と出逢って、恋をしたらしい。



「そのようなことはございません」


 優祐の後ろで祐雫は、小さな声で否定する。



(恋をすると祐雫でも、淑(しと)やかになるのですね)


 優祐は、背中に隠れている祐雫が、何時になく可愛く思えた。



 何度か会ったことのある嵩愿家の御曹司である慶志朗は、

 異端児的な要素を持ち合わせていながら、

 経済界の重鎮たちに孫のように可愛がられている存在である。


 大学二回生で、すでに嵩愿グループの取締役の肩書きを持っていた。


 はじめて晩餐会に参会した時に、祖父・啓祐(けいすけ)から、

 いの一番に紹介されたのが慶志朗で、

 経済界の若手の中でも、有望視されていることを実感した。




< 65 / 201 >

この作品をシェア

pagetop