♡祐雫の初恋♡

「祐雫さんは、青い色がお好きですか」

 慶志朗は、祐雫の白い襟が映える天高い秋空のような

 青いワンピース姿に視線を留める。


 避暑地で見かけた愛らしい白いワンピースとは異なり、

 明敏な雰囲気が前面に出ていた。

 それでも、優祐の後ろへ

 恥ずかしげに隠れている姿を愛らしく感じていた。



「お二人で決めかねているのでしたら、

 ぼくのアドバイスを……

 桜河電機の会長は、浪漫溢(ロマンあふ)れる方ですので、

 薔薇色の格子が華やかでお似合いだと思いますよ。


 その代わりに青色好きの祐雫さんには、

 こちらを差し上げましょう。


 来週の音楽会のチケットなのですが、

 父母が都合で行けなくなりましたので、

 よろしければお二人でいらっしゃいませんか」


 慶志朗は、胸ポケットから、

 音楽会のチケットの入った青い封筒を取り出して、

 祐雫へ差し出す。

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