♡祐雫の初恋♡
優祐の応援
祐雫は、両手を合わせて、深々と頭を下げると、
音楽会の許可を父・光祐から取りつけてもらうように優祐へ頼み込む。
優祐は、夕食後に、光祐の書斎へ赴いた。
「父上さま、
本日、偶然お会いした嵩愿慶志朗さまから、
今週末に開催される音楽会の招待状を戴きましたので、
祐雫と共に伺ってよろしいでしょうか」
優祐の神妙な顔を見つめて、光祐は、静かに口を開く。
「優祐は、祐雫に付き合ってあげたいと思っているのだね」
光祐は、率直な祐雫が自身の口からではなく、
優祐を通していることに祐雫の乙女心を感じていた。
「父上さま、ご存知でしたか」
優祐は、光祐の穏やかな声に安堵する。
「母上から話を聞いたけれど、
最近の祐雫の立ち振る舞いを見ていると、
恋をしているってことくらいは分かるよ。
優祐は、どう思う。
嵩愿家は、これから先、
桜河電機のキーパーソンになる会社だと思っている。
協調するのか、今まで通り平行線のままなのか先を見越して、
お付き合いをしなければならない」
光祐は、穏やかな表情の中に毅然とした態度を示した。