♡祐雫の初恋♡

「そうか。

 優祐にとって、我が屋敷の女性たちは、ある意味、災難だね。


 ところで、神の森はどうだったの。

 忙しくしていて、話を聞いてなかったね。


 まぁ、掛けなさい」

 
 光祐は、優祐との時間(いま)を大切に思い、椅子を勧める。


 この夏休みにも、優祐は、神の森に二週間ばかり滞在していた。

 光祐は、忙しく、

 神の森滞在中の優祐の話を聞く時間が取れないままだった。


「ぼくは、お爺さまと好きな時間に

 神の森を散歩して過ごすのですが、

 びっくりするくらい穏やかな森になりました。


 冬樹叔父さまは、すっかり神の守の風格を持たれて、

 今では母上さまのように癒しの御力を発揮されています。


 ぼくは、神の森で二週間過ごすと

 残りの一年間をとても気持ちよく送ることができます。


 神の森では、壮大な視野で、物事を考えることができ、

 自信が漲(みなぎ)る気持ちになれます」


 優祐は、話しながら、背後に神の森を感じ、

 神の森の香りに抱かれた気分が甦り、

 爽やかな気分になる。


「優祐がいない二週間は、こちらは淋しいが、

 そのような体験ができるのは、素晴らしいことだね。

 世間では、体験できないことを心身ともに体験できるのだからね。


 これからは、私が忙しい時には、優祐がしっかりと、

 桜河のお屋敷を守ってくれるので、安心して任せられるね」


 光祐は、祐雫の淡い初恋と、

 それを心から応援する優祐の成長を快く感じていた。

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