♡祐雫の初恋♡

「桜河家のお二人がお揃いのところをはじめて拝見いたしました。

 慶志朗の許嫁(いいなずけ)の麗華でございます」


 佐和原麗華(さわはら れいか)は、比類なき美しさで、

 周囲を圧倒していた。


「お初にお目にかかります。

 御乃倉琳子(みのくら りんこ)にございます。

 わたくしは、慶志朗さまとは、幼馴染でございますの」


 麗華に相反して、

 琳子は、たおやかな美しさで、周囲を和ませていた。



「嵩愿さま、今宵は、ご招待ありがとうございます。

 佐和原さま、御乃倉さま、お目にかかれて光栄です。

 桜河優祐と申します。

 どうぞよろしくお願いします」


 優祐は、両淑女を前にして、

 驚愕して瞳を潤ませている祐雫の分まで

 しっかりしなくてはと、気を引き締めて挨拶をする。

 そして、祐雫の腕を軽く突付いた。


「嵩愿さま、ご招待ありがとうございます。

 麗華さま、琳子さま、桜河祐雫でございます。

 お目にかかれまして、嬉しゅうございます。

 今宵は、どうぞよろしくお願い申し上げます」


 祐雫は、こころが押し潰されそうになりながらも、

 ぎゅっと拳を握り締めて、溢れそうな涙を堪(こら)えた。

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