♡祐雫の初恋♡
「祐雫さんのドレスを拝見していると、
春が待ち遠しくなって、
思わず苺のジュースを注文してしまいました。
空色の好きの祐雫さんには、
青空に輝く桜のイメージのように
今宵のドレスがよくお似合いです」
慶志朗は、祐雫の耳元で囁いた。
「さぁ、召し上がれ」
慶志朗は、にっこり頷いて、祐雫に苺ジュースを勧める。
祐雫は、勧められるままに苺ジュースを飲みほして、
至福の味に包まれる。
「とても美味しゅうございます」
祐雫は、冷たい苺ジュースに活き返った気分になる。
「会場が熱気に包まれているので、冷たいジュースに
ほっとしたでしょう」
慶志朗は、あまりの可愛らしさに
祐雫の苺の頬へ手を当て、
元気になった祐雫の表情に満足して大きく頷く。
慶志朗から触れられて、更に紅潮した祐雫から、
グラスを受け取ると、
慶志朗は、給仕係へグラスを返した。
慶志朗は、戻ってきた優祐へ席を勧め、
麗華と琳子の手を取って席に着かせた。
祐雫は、苺の甘い香りに包まれたまま
夢見心地で、音楽会の夕べを過ごした。