♡祐雫の初恋♡
「確かに二人とも非の打ちどころのない淑女です。
だから、昔むかしのように一夫多妻だと
迷わなくてもよいと思うことがありますよ。
父の顔と母の顔を潰さずに
皆がしあわせになる方法があるといいのだけれど」
慶志朗は、大きな溜息を吐く。
「まぁ、一夫多妻にございますか……
嵩愿さまは、そのようなお考えでございますの」
祐雫は、驚いて慶志朗を見上げる。
「どちらも幼馴染としては好きだけれど、
結婚となると躊躇してしまうのです。
愛する女性は他にいるのではないかと思われてね」
慶志朗の表情は、そよ風で漣立つ桜池の水面のように揺れていた。
「それでは……
嵩愿さまも、麗華さまや琳子さまも、淋しゅうございます」
祐雫は、自身のことのように悲しくなって、
思わず慶志朗の手を両手で包み込んだ。