♡祐雫の初恋♡
夕日が桜山に反射して、桜池一面を虹色に輝かせた。
虹色の光は、慶志朗と祐雫を包みこんでいく。
「嵩愿さま、ご覧くださいませ。
世界一美しい虹へのお礼でございます」
慶志朗の瞳には、緋色に包まれた満開の八重桜のような
祐雫が映っていた。
慶志朗は、聡明な黒い瞳の奥に
しっかりとした強さを持つ祐雫を愛おしく感じていた。
「素晴らしいお礼をありがとう。
そう、祐雫さんは、祐雫さんですよ。
ぼくの前では、素直な祐雫さんでいてください」
慶志朗は、再び祐雫の手を取り、
桜池の美しい水面を眺めた。
桜池に映える夕日は、小さな漣をたてて、恋模様を描いていた。
慶志朗のこころには、『真実の愛』という言葉が刻み込まれる。