奏でる場所~SecretMelody~
授業が全て終わり、放課後がやってくる。


1日中、ずっと宙を観察し続けた結果、やっぱり様子がおかしくて。


そして、たまに顔をしかめて鞄に突っ込む手紙や、紙らしいものが気になって。


奏と陽輝はこの場に来ていた。


「なぁ、奏…?ほんまにいいんか?こんなん…」



「仕方ないだろ。方法がないんだから。」



「そうやけど…。」



「大丈夫だって!!」



それは、宙の部活用ロッカーの前。



宙はラクロス部のエースで今は部活中だ。



奏が考えた事。それは宙の鞄を探る事。



さっき、鞄に入れていた紙々。



もしかしたら、そこに何か手掛かりがあるかもしれないし…



ロッカーをガチャっとあけ、鞄を出す。



「いくで?せーの…」



鞄の中身を見た瞬間、奏達は絶句した。



「嘘…「だろ?」「やろう?」」



まず、目に入ったのは大量のごみや紙クズ。



「何…これ…。」



グチャグチャに丸められた紙を開いてみる。



そこではペンで書かれた沢山の文字。



“ブス”“消えろ”“調子のんな”“死ね”“学校にくるな”…



「ひどい…」



さらに鞄を探ると、教科書が出て来た。



一件まだ綺麗に見える英語の教科書だ。



何げなくパラパラとページをめくってみる。



「え…?」



中身は暴言が殴り書きされていて、もはや文なんか見える状態じゃない。



陽輝が覗きこんでき、急いで奏の手から教科書を奪い取る。



「何やねん…。これ…。」



あ!!



そっか…。だから、今日の授業、質問に答えられなかったし、宿題も出せなかったんだ。



こんな、教科書じゃ分かるわけない…。



「…なぁ、奏?宙は何でこんなにいじめられてるんや?」



「さぁ…ん?陽輝、これ!!」



「んー?」



鞄の奥底から、一枚の手紙が出て来た。



そして、それを読んだ陽輝は



「…そーゆう事ね…。」



と呟き、片手で手紙を握りしめた。







< 105 / 233 >

この作品をシェア

pagetop